Contents
執筆者紹介
証券アナリスト・中島 翔
学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。
その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。
その後は、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。
さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。
仮想通貨トレードに関しても、仮想通貨取引所コインチェックにて、トレーディング業務に従事した経験を持ち、金融業界に精通して幅広い知識を持つ。 金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト
2023年2月の仮想通貨市場の流れを解説
2月の仮想通貨市場は、ここ数ヶ月間弱気だった仮想通貨市場が、アメリカの政策金利緩和の期待感にあと押しされる形で、中旬以降にはある程度の上昇が見られたが、大きくトレンドが変わるところまでは至らなかった。
さて、ここからは2月の仮想通貨市場を週ごとに振り返ってみよう。
2023年2月第1週の仮想通貨市場
2月の第1週は、大きな動きは見られなかったものの、3月に予定されているイーサリアムの「Shanghai(シャンハイ)アップデート」への期待が窺える結果となった。
週の前半にはビットコインが一時24,000ドルを突破するかといった動きが見られたものの、NY時間には下落する展開となった。
また、イーサリアムも一時1,700ドル台あたりまで到達したが、その後は下落する動きを見せた。
その後は仮想通貨市場全体であまり大きな動きは見られず、ビットコインに関しても再度24,000ドル台を突破する場面が見られたものの、それを維持することなく、23,000ドル台前半で推移するかたちとなった。
なお、イーサリアムは若干底堅い地合いとなっており、Shanghai(シャンハイ)アップデートへの期待があるのではと予想されるなど、今後イーサリアムの上昇が続くかどうかに注目が集まる結果となった。
注目すべきニュースとしては、「Twitter」の次にどのようなSNSが流行するのか世界が注目している中、ビットコインを用いて投げ銭を行うことができる「Damus(ダムス)」という分散型アプリが1日に「App store」でリリースされ、話題となっている。
また、「Binance(バイナンス)」が韓国に再び進出するという旨の報道が出ているほか、インドネシアが6月にも国家仮想通貨取引所を設立するという話も出ており、仮想通貨をめぐる世界の動きにますます関心が高まっている状況だ。
2023年2月第2週の仮想通貨市場
2月の第2週は、アメリカでステーキングが禁止になる可能性があることなどを受けて、仮想通貨市場全体が下落する展開となった。
週の初めは仮想通貨市場全体が上昇する動きを見せ、ビットコインに関しては米国株が上昇する中で底堅い推移となった。
その後、ビットコインやイーサリアムがやや軟化する状況の中、SANDがサウジアラビア政府とメタバースにおいて提携していくことが発表され、大幅に上昇する展開となった。
このほか、ミームトークンも大幅な上昇を見せ、全体的にアルトコイン主導での動きが続くかたちとなった。
しかしその後、仮想通貨市場は大幅に下落する動きを見せ、ビットコインに関しては21,000ドル台半ばまで到達するなど、総じて弱い展開となった。
また、イーサリアムを中心としてアルトコインの下落も目立っており、アメリカでステーキングが禁止になる可能性が浮上していることを受けて、投資家が一旦資金の引き上げを行っているのではと見られている。
注目すべきニュースとしては、中国で再び仮想通貨が解禁されるのではないかという話が出ており、中国市場の動向や規制について注目が集まっている。
また、アメリカのNYサービス局が「パクソス(Paxos)」に対してバイナンスのBUSD発行を禁止すると命じたという報道が出ており、アメリカの規制当局の動きがさらに強くなってきていることが窺える。
2023年2月第3週の仮想通貨市場
2月の第3週は、仮想通貨市場全体が久しく大幅な上昇を見せる展開となった。
週の初めは仮想通貨市場が総じて上昇する動きを見せ、株式市場がCPI発表後に上昇するタイミングでビットコインも連れ高となり、22,000ドル台まで到達する展開となった。
仮想通貨市場はその後も大幅な上昇を続け、ビットコインは22,000ドル台から24,000ドル台まで上昇したほか、イーサリアムも1,600ドル台を回復するなど、仮想通貨市場全体が久しく大幅な上昇を見せる結果となった。
しかし、その後は利益確定のフローが増加したことを受けて上値が調整安の動きを見せ、ビットコインは一時25,000ドル台まで上昇していたものの、24,000ドル割れの水準まで下落することとなった。
その後の仮想通貨市場は底堅い推移を見せ、ビットコインは一時、再び25,000ドルを突破する動きとなったものの、25,000ドルより上は叩かれるようなかたちとなっており、上値が重い展開となった。
また、イーサリアムも1,700ドルを突破したものの、この水準からさらに上値へと伸ばす勢いはなくなったと言える状況となった。
注目すべきニュースとしては、「ビットポイントジャパン」が「SBI」の100%子会社化となったこと、「スクエアエニックス」がNFTプロジェクトにおいてポリゴンを採用したことなどが挙げられる。
また、日本国内においてもいよいよ「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」の実証実験がスタートするというニュースが出ており、期待の声が上がっている。
2023年2月第4週の仮想通貨市場
2月の第4週は、仮想通貨市場全体が下落傾向にあったが、週の終わりには回復する動きを見せた。
週の初めは仮想通貨市場全体が下落する動きを見せ、ビットコインに関しては何度もトライした25,000ドルを維持することができず、24,000ドル台前半まで下落する格好となった。
その後、ビットコインは一時24,000ドル台半ばから23,000ドル台半ばまで下落し、底堅い推移を見せた。
イーサリアムについても1,600ドル台まで低下しており、仮想通貨市場で大きな話題はないものの、日本ではFTXの出金が進んでいるなど、FTX関連の進捗が出ている状況だ。
なお、仮想通貨市場はその後も下落する展開となり、ビットコインは一時23,000ドルを下回る動きを見せた。
しかし再び上昇に転じると、ビットコインは23,000ドル台後半あたりまで回復し、その後は半ばあたりで推移する結果となった。
注目すべきニュースとしては、ポリゴンが人材をカットするという報道により価格が下落していること、「Blur(ブラー)」が「OpenSea(オープンシー)」の週間の取引高を上回っており、NFTマーケットプレイスの勢力図が変化してきていることなどが挙げられる。
また、「リキッドステーキング」の規模がおよそ2兆円まで拡大しているというニュースが出ており、市場拡大が顕著になってきていることにも注目が集まっている。
市場の動向をチャートでチェック
BTCUSDチャート
次にビットコイン(BTC/USD)のチャートをチェックしたい。
2月初に23,148.71ドルでスタートしたビットコインは、一時24,000ドル台を突破する場面も見られたが、維持できずに23,000ドル台前半での推移となった。
その後、イーサリアムを中心にアルトコインが下落したタイミングでビットコインも21,000ドル台半ばまで下落したが、下落の動きが一旦落ち着きを見せると、その後は大きな変動なく推移する展開となった。
また、月の半ばには再び24,000ドル台まで上昇し、その後一時25,000ドル台まで到達する展開を見せたが、その後は24,000ドル割れの水準まで大きく調整される結果となった。
仮想通貨市場が底堅く推移する中、ビットコインは再び25,000ドルを突破する動きを見せたものの、その後は23,000ドル台半ばまで下落するなど、上がり切らない状態が続いた。
なお、月末には一時23,000ドルを下回る展開を見せたが、その後23,000ドル台後半まで上昇し、半ばあたりで推移する結果となった。
ETHUSDチャート
次にイーサリアム(ETH/USD)のチャートをチェックしたい。
2月初に1,585.43ドルでスタートしたイーサリアムはその後急激な上昇を見せ、一時1,700ドル台まで到達したが、その後は下落する動きとなった。
その後、一時は1,400ドル台まで下落したものの、仮想通貨市場全体が上昇したタイミングで再び1,600ドル台を回復し、そのまま1,700ドル台を突破する展開となった。
しかし、なかなかこの水準からさらに上値を伸ばす勢いはなくなっており、月末は1,600ドル台あたりで推移する結果となった。
なお、冒頭でも触れた通り、イーサリアムの「Shanghai(シャンハイ)アップデート」が3月に控えており、イーサリアムの底堅い推移からも、投資家の期待が窺えるかたちとなっている。
今後はアップデート実施に向けて、イーサリアムがどのように上昇していくのか、注目が集まっている。

大学卒業後に米国株取引を始める。FX、先物、CFDを経験し、2017年のビットコインの高騰を見て仮想通貨取引に参入。主に仮想通貨FXで大きな収益を得ている。長年の経験から投資・金融に関する情報を発信。現在は、Fact of Moneyの運営責任者として記事の執筆・検収を行う。