歴史は紀元前まで遡るアンティークコイン投資についてご紹介します。
古代ギリシャ、古代ローマ帝国時代のアンティークコインから、中世の金貨や銀貨など様々な種類があるアンティークコイン。
投資目的やコレクターが収集目的になっていることもあり、オークション市場が活発です。
アンティークコインは世界中で流通されており、趣向性の高い投資商品としても注目されています。
目次
アンティークコインとは
厳密な定義としてアンティークコインは、近代以前に発行・鋳造されたコインを総じて「アンティークコイン」と呼称します。
アンティークコインは世界中に熱狂的なコレクターが存在しており。
アンティークコインは現代の技術ではなく古来の技術で鋳造された当時の技術の奥深さ、経緯と、その古めかしい外見が人気を集めています。
素材自体も金や銀で作られているものが多く投資商品としては安全資産としての性質も持ち合わせています。
アンティークコインのグレードとは
アンティークコイン投資において、アンティークコインのグレード(≒品質)は大変重要になります。
アンティークコインにおけるグレーディングとは国際的に認められている第三者機関による格付け鑑定をグレーディングと呼称します。
主に、アメリカのグレーディング会社であるNGC、PCGSがアンティークコインにおけるグレーディング会社として有名であり他のグレーディング会社よりも信頼性と安定性が高いです。
グレーディングされたアンティークコインはスラブケース(通称:スラブ)と呼ばれる透明なプラスチックケースに入った状態で鑑定書と一緒に返送されます。
スラブに収納された状態で返送される理由としては以下の理由です。
- 真贋の判定をしやすい
- 状態の劣化を起こしにくくするため
- 鑑定済みということがわかりやすい
詐欺業者や悪意を持ってケースに収納して売ろうとする方がいます。
アンティークコイングレーディン会社:NGC
NGCは「Numismatic Guaranty Corporation」の略称で、「アンティークコイン保障会社」と和訳されます。
1987年アメリカのフロリダ州サラソタにて創立したアンティークコインや紙幣の第三者格付け鑑定会社。
NGCグループは鑑定可能な品目が多く、中世のアンティークコインを鑑定を皮切りに古代コイン(紀元前に鋳造されたコイン)を専門として取り扱うNGC – ANCIENTや紙幣鑑定をするPMGに分かれます。
2020年現在33年間で4500万を超えるアンティークコインの格付けを行ってきました。名実ともに素晴らしい格付け会社です。
また、NCSというコインの修復や復元を行う部門もあり、アンティークコインが持つ本来の色や艶、輝きを取り戻すための高い技術力もあります。
アンティークコイングレーディング会社:PCGS
PCGSは「Professional Coin Grading Service」日本語で「コイン専門格付けサービス」が和訳になります。
PCGSはアメリカのカリフォルニア州ニューポートビーチで創設されたアンティークコイン格付け会社です。
世界共通のグレーディング基準となるシャルドン・スケール(70段階)を確立した会社としても有名。
現在各コレクターが安心して子のグレーディングを参考に値付けや状態の確認を行えるようにスラブケースでアンティークコインを保存することができるようにしたのもPCGSです。
現在のアンティークコイン市場の基礎を作り上げたといっても過言ではありません。
現在では16世紀からモダンコイン(近代のコイン)をグレーディング対象としています。
特にアメリカコインにおいては突出した実績と鑑定制度の高さから高評価が集まっています。
PCGSもまた、PCGS Restorationという復元、修復作業に特化した部門や、PCGS Banknoteという紙幣のグレーディング部門があります。
アメリカ、日本基準グレード
スラブ | 状態表記 | 日本語 | 特徴 |
---|---|---|---|
PF | Proof | プルーフ | 何らかの目的のために特別仕上げされた品。製造方法を示す言葉でグレーディングとは区別される |
MS70 | FDC | パーフェクト完未使用 | 流通用として製造されたコインでは発見不可能とも思われるほどの完全な品 |
67 | | | ||
66 | -FDC | 完全未使用品 | 造幣局か製造されたままで通常考えられる傷ひとつ無い品 |
65 | UNC/FDC | ||
64 | UNC+ | ||
63 | UNC | 未使用品 | 表面の輝きは製造時の状態を保ち摩耗もないが、バッグマークなど擦過傷やアタリ傷がわずかにある品 |
62 | -UNC | ||
61 | AU/UNC | 準未使用品 | 摩耗はほとんど無いが、多少の流通感がある品 |
60 | AU | ||
AU58 | EF+ | 極美品 | 多少の摩耗は見られるが、表面に製造時の輝きを残している品 |
55 | EF | ||
50 | -EF | ||
EF45 | VF/EF | ||
40 | VF+ | 美品 | 摩耗はかなりあるが、細部までシャープに判別できる品 |
VF35 | VF | ||
30 | F/VF | ||
20 | F+ | 並品 | かなり摩耗はしているが、年号など特徴は明瞭に見える品 |
F15 | F | ||
12 | -F | ||
VG8 | VG | 劣品 | 文字や年号まで摩耗しているが、一見して判別可能な品 |
G4 | G | 大劣品 | 文字や年号も摩耗し、経験を積んだ者にしか判別できない品 |
逆に、「+EF」ならば、グレードはEFだけれど、他の一般的なEFに比べると品質が良いという場合に使われます。
アンティークコインのグレードは「+」や「-」を付ける場合があります。
具体的には「+VF」などの表記が該当します。
引用元:https://www.forumancientcoins.com/
監修者 葉山満
アンティークコインが資産運用に向いている4つの理由
さて、ここまでアンティークコインの必要知識についてご紹介してきました。
次にアンティークコインが何故資産運用に向いているのかについて解説します。
リスクが低い
アンティークコインはリスクの低い投資商品として扱われることが多いです。
また、アンティークコインの素材は金、銀、プラチナ、銅など素材単体で価値があるものが多く、株式やそのほか一部の投資商品とは違い0円になることが理論上ないです。
市場の成長性
日本におけるアンティークコインの認知度はまだ低く、市場の成長性に期待が持てます。
また、イギリスの大手コイン会社であるStanley Gibbons社によるレポート、レアコインインデックス指数は上昇傾向。
維持管理の簡易さとコスト
維持管理についてはスラブケースに入れたアンティークコインであれば家に置いておくだけで保管が可能。
不動産においては、かかる固定資産税、登録免許税、都市計画税といった様々な税金の対象となってしまいますが、アンティークコインにおいては、それら税金がかかることは2020年の日本現行法ではありません。
売却益による税金は株式取引やFX取引など各投資手法と同様に課税対象です。確定申告の際に申請するだけです。
維持保管にかかるコストは0円。余程高温多湿な環境ではない限り問題ないです。
インフレ耐性
アンティークコインは発行枚数がすでに限定されており、これ以上増えることがないため、インフレヘッジ(通貨の発行による通貨の相対的な価値低下から資産を回避)することが可能です。
このインフレに対する耐性を持つ投資商品は枚挙に暇がありません。
ですが、実物資産と、趣味要素の2面を持つアンティークコインは人によって素晴らしい投資対象と呼ぶことができるでしょう。
監修者 葉山満
アンティークコイン市場の推移
ここで、具体的なアンティークコインの価格推移とそのコインの歴史や経緯を紐解いてみます。
ウナとライオン
詳細
ウナとライオンは英国にて5ポンド金貨、ヴィクトリア女王を描かれ鋳造されました。英国のアンティークコインにおいて1番美しいとされ、ウィリアム・ウィヨン(William Wyon)が1839年にデザイン。
ヴィクトリア女王の即位を期に発行。このウナとライオンのアンティークコインは市場流通用ではなく、コレクター向けに鋳造されたものと考えられています。
生産においては異なる金属を使用し、多くのバリエーションを含む数百のコインに達します。女王のヘアバンドやエッジ(縁)タイプのバリエーションがあります。
価格
2020年5月3日、ウナとライオンのアンティークコインは810,000ドル(86,500,000円)以上の価格で取引がされています。
日本にある泰星オークションにおいてイギリス1839年に発行されたウナとライオンのアンティークコイン(NGC PF 65)が約810,000 ドルで取引されました。
引用元:Famous British Rarity Una and the Lion Gold Coin Realizes Over $800,000
資産ポートフォリオから見るアンティークコイン
投資商品カテゴリの中でアンティークコインは現物資産として位置づけられます。
現物資産という観点からみるアンティークコイン
投資ポートフォリオとして多くの割合を占めるであろう現物資産と言えば不動産や金、銀、プラチナが上がります。
また、多少のリスクはあるものの値上がり利益を上げることがしやすい株式投資、投資信託、外貨投資をポートフォリオに組み込む方が大多数です。
それら投資商品の観点からみるとアンティークコインは知識こそ必要ですが、維持コストがかからない実物資産としての振る舞いをします。
また、株式投資、外貨投資など金融資産は0円=無価値になる可能性を少なからず内包しますが実物資産は0円になることはありません。
アンティークコインは素材が貴金属であり金や銀の価格に左右されますが安定した資産として扱うことができます。
アンティークコインを保持しても金利がない
アンティークコインは現物をいかに所持していようとも金利が入ってくることはありません。
金融商品であれば利息の受け取り、投資信託であれば運用益を得ることが可能です。
金、銀と同じく売却益のみを狙って投資することになります。
監修者 葉山満
アンティークコイン、株、不動産などの投資商品比較
投資カテゴリ | リスクリターン | 専門知識 | 運用コスト | 投資金額 |
---|---|---|---|---|
アンティークコイン | 低 | 高 | 低 | 5,000円~ |
株 | 中 | 高 | 低 | 1,000円~ |
不動産 | 低 | 中 | 高 | 2,000,000円~(3,000万円物件想定) |
金 | 低 | 低 | 低 | 1,000円~(月々の積立投資金額) |
投資信託 | 中 | 低 | 低 | 10,000円~ |
仮想通貨 | 高 | 高 | 低 | 100円~ |
アンティークコイン専門店一覧
アンティークコインにおいて専門ショップをリストアップしました。
Antique coin town
アンティークコインワールド
UNIVERSAL COIN
GOLD COIN
これら専門店からの購入をお勧めします。
アンティークコイン初心者が自分の目で鑑定、目利きを行うより以前に信頼できるアンティークコインディーラーを見つけることが優先です。
アンティークコイン投資のまとめ
アンティークコイン投資は少額から始めることが可能で、歴史と深く紐づく古代コインや中世の貨幣などの趣についてご紹介しました。
基本的にアンティークコインを単なる投資商品としてみた場合、実物資産として価値貯蔵に優れます。
不動産とは違い維持管理コストが低く長期にわたり保持することが推奨されます。
反対にデメリットとしては低リスクだが値上がり利益にフォーカスすると投資金額が大きくなり易い傾向にあります。
これは近年インフレヘッジとしての特性を見出され注目された背景があり、発行枚数が少なく、価値が下がりずらい高額のアンティークコインへ投資家の目が集中しているせいだといえます。
監修コメント(葉山満)
ローリスクで少額から始められるアンティークコイン投資ですが、正確な情報、知識が必要不可欠です。
先ずは信頼できるコインディーラー、アンティークコイン専門店を見つけられることが今後のアンティークコイン投資の成功を大きく左右します。
これから一緒に学んでいきましょう。
大学卒業後に米国株取引を始める。FX、先物、CFDを経験し、2017年のビットコインの高騰を見て仮想通貨取引に参入。主に仮想通貨FXで大きな収益を得ている。長年の経験から投資・金融に関する情報を発信。現在は、Fact of Moneyの運営責任者として記事の執筆・検収を行う。