資産運用について、さまざま調べていると「アンティークコイン投資」という言葉を耳にすることがあります。
アンティークコインは、主に古代から中世にかけて作られた外国のコインを指し、最近では、100年以上前のコインを総称してアンティークコインとも呼ばれています。
実は昨今、アンティークコインの価値は下がりにくい傾向にあることがわかってきており、ひそかに人気となっています。
しかし、まだ日本人の中でアンティークコイン投資を知っている人は、0.1%もいないのではないか?とも言われており、日本ではまだ情報が少ない投資でもあります。
そこで今回は、「アンティークコインの価値」について、投資に向くと言われる理由と、価値が下がりにくい理由、値上がり実績のあるアンティークコインまで、くわしく解説していきます。
この記事を読んで、アンティークコインとその価値について理解を深めて行きましょう!
目次
そもそもアンティークコインとは?
この記事を読まれている方であれば、アンティークコインのことはご存知かもしれませんが、アンティークコインとは、古代から中世、近世にかけて発行され、現在は使われていない外国のお金(貨幣)のことを指します。
希少価値が高く、趣味としているコレクターの方もいるため、換金性が高く、インフレヘッジ効果(金のような実物の資産に変えて、ドルや円などの貨幣価値が下がることに備えること)もある資産運用の手段として、注目されています。
相場から見るアンティークコインの価値推移とこれから
資産運用の手段として注目されているアンティークコインですが、その価値は、リーマンショックの時も上がり続けていたほど、上がり続けています。
下記の表は、イギリスのSTANLEY GIBBONS社が作成している「GB200 Rare Coin Index」という指標のグラフです。
これはイギリスで過去に発行されたアンティークコインの中でも、とくに価値の高い200種類(銘柄)の2002年から2012年の価格推移をまとめたものです。
このグラフを見ると、リーマンショックがあった2008年にも、アンティークコインは価値をあげていることがわかります。
1990年代には大きい価格変化はなかったのですが、2003年から20年近く価格が上がっています。10年平均で見た価値の上昇率は、194.5%にもなります。
監修者 葉山満
骨董品としてのアンティークコインの価値
また、アンティークコインは骨董品としても区分けすることができ、骨董品としても価値は高いです。
例えば、同じデザインでコインが発行されたとしても、それはレプリカということになり、歴史的な価値は生まれません。
そのため、年が経つごとに歴史的な価値も高まり続けています。
また、世界経済の成長に伴って、途上国からの富裕層の数も増えており、アンティークコイン を欲しがる人は増えていく傾向が続いています。
投資目線で見るアンティークコインの価値
ここまでアンティークコインの価値相場や、骨董品としてのアンティークコインの価値について、振り返ってきましたが、アンティークコイン投資は資産運用に向いていると言われる理由は3つあります。
ここからは、アンティークコインが資産運用に向いている理由についてご紹介していきます。
アンティークコインが資産運用に向いている理由3つ
アンティークコインが資産運用に向いていると言われる理由は、
- 希少価値が保たれやすい
- 日本ではこれから市場が拡大しそう
- 手軽に購入でき、維持費用がかからない
の3点です。
アンティークコインが資産運用に向いている理由①数が増えないので、希少価値が保たれやすい
冒頭からアンティークコインは価値が下がりにくいとお伝えしてきましたが、アンティークコインは金や、株式のように数が増えることはありません。
数が増えることがないということは、同じものが世の中に出回らないので、結果として希少価値が保たれることになり、価値が下がりにくいということになります。
アンティークコインが資産運用に向いている理由②日本ではこれから市場が拡大しそう
希少価値の高いアンティークコインは、日本ではまだあまり知られていませんが、認知度の高まりと共に価値が上がるのではないか?と予想されています。
現在、アンティークコインは、欧米や中国を中心とした海外の富裕層の中で、投資商品として人気を博しています。
事実、2015年に中国市場の株式の価格が軒並み低下した、チャイナショックの際に、アンティークコインの価値は大きく上がりましたが、これは中国の富裕層が、アンティークコインを買い漁ったためとも言われています。
ですが、日本では認知度がまだ低く、これから知られている途上の投資商品のため、国内での価格も人気の高まりと共に価値の上昇が見込まれており、資産運用に適している理由とも言えます。
アンティークコインが資産運用に向いている理由③購入手続きがかんたんで維持管理も手軽
アンティークコインは、スラブ型コインケースやコインカプセルに入っているものが大半なので、不動産や車、ワインや絵のようにメンテナンスに費用がかからず、購入も多くの書類にサインする必要がないので、とても手軽に資産運用ができます。
不動産や車であれば、固定資産税などの税金や、清掃などのメンテナンス費用がかかってくるものですが、アンティークコインは購入して、自宅の金庫などに保管するだけで大丈夫です。
株式投資やFX取引、仮想通貨のように証券会社などに登録して、本人確認を行う必要もアンティークコインにはありません。
監修者 葉山満
アンティークコインの価値を左右する「レアリティ」とは
資産運用に適しているアンティークコインですが、購入を検討している方は、「レアリティ」についても理解しておきましょう。
アンティークコインには、品質保証がある場合、アメリカコインの認定機関である、PCGS(Professional Coin Grading Service)、NGC(Numismatic Guaranty Corporation)のいずれかの鑑定ギャランティーがついています。
価値の高くないアンティークコインを購入して失敗したくない!という方は、「レアリティ」を意識することがおすすめです。
価値あるアンティークコインの選び方
ここからは価値あるアンティークコインを選ぶ方法についてご紹介していきます。
後ほどご紹介しますが、アンティークコインはディーラーやショップから購入することができます。
まずは、ディーラーやショップで、アンティークコインの選ぶ時のセレクトポイントからお伝えしていきます。
箇条書きにしてまとめると、
- 購入したい価格帯を決める
- 鑑定ギャランティーがあるか確認する
- 国や地域から探してみる
- 年代・古さから探してみる
- コインの素材・金属から探す
の5つがセレクトポイントです。
価値あるアンティークコインの選び方①購入したい価格帯を決める
アンティークコインを選ぶ時、まずは購入したい価格帯を決めましょう。
アンティークコインは、1,000円程度で買えてしまうものから、数千万円になるものまで、価格のバラエティは豊かです。無理なく購入したい金額の中で、選ぶことがおすすめです。
価値あるアンティークコインの選び方②鑑定ギャランティーがあるか確認する
先ほどお伝えした通り、アンティークコインには「レアリティ」という考え方がありますので、鑑定ギャランティーがあるかどうかの確認がおすすめです。
鑑定ギャランティーがあるアンティークコインには、PCGS(Professional Coin Grading Service)か、NGC(Numismatic Guaranty Corporation)のいずれかの保証がついています。
価値あるアンティークコインの選び方③国や地域から探してみる
価格のバラエティも豊かなアンティークコインですが、国や地域のバラエティも豊かです。
各国のアンティークコインの特徴をまとめましたので、ご覧になってください。
イギリスのアンティークコインの特徴
アンティークコインの代名詞「ウナとライオン」などを発行したイギリスのアンティークコイン(イギリスコイン)は、「世界一美しい金貨」と称されるほど、コレクターの方々の憧れの一枚になっています。
またヴィクトリア女王のペニー銅貨やゾヴリン金貨などのアンティークコインが多く取引されています。
フランスのアンティークコインの特徴
フランスのアンティークコインは、ヴェルサイユ宮殿を作ったルイ14世のコインや、数々の武勲を打ち立てたナポレオン=ボナパルトのアンティークコイン(ナポレオン金貨)など、世界史が好きな方であれば、必ず聞いたことがあるであろう人物が描かれたコインが多いです。
主にブルボン朝から第三共和政までのコインが、フランスのアンティークコインとして取引されています。
イタリアのアンティークコインの特徴
イタリアのアンティークコインは、イタリア教皇のアンティークコインが主に取引されています。
また、1900年から1946年まで在位していた、ビットリオ・エマニュエル3世は多くのコインを鋳造し、コレクターから高い評価を受けています。
スペインのアンティークコインの特徴
スペインのアンティークコインは、大航海時代からフェリペ2世の時代のアンティークコインが多く取引されています。
エスクード金貨や、レアル銀貨が人気です。
ドイツのアンティークコインの特徴
ドイツのアンティークコインは、神聖ローマ帝国のアンティークコインが主に取引されており、特に希少性が高いと言われています。
神聖ローマ帝国は一つの国家というよりも、多い時期には300を超える小さな国家が集まった領邦国家(りょうほうこっか)なので、政治的意味を持った金貨が多く存在しています。
1871年にドイツが統一された後も、多くのコインが発行されています。
価値あるアンティークコインの選び方④年代・古さから探してみる
各国の歴史の物語の数だけ存在するアンティークコインですが、年代や古さから探してみるのも一つの手です。
アンティークコインは、中世であれば、各国の年代で選ぶことができます。例えばディーラーさんの意見を聞いて、人気の時代のコインを選ぶこともできます。
合わせて、アンティークコインには「古代コイン」と呼ばれる、紀元前から古代までのエジプトやペルシャ、古代マケドニアなどコインも存在しています。
価値あるアンティークコインの選び方⑤コインの素材・金属から探す
アンティークコインを選ぶ最後のポイントとして、コインの素材や金属から選ぶという方法をご紹介します。
アンティークコインは、貨幣ですので、金や銀、胴などを使用して作られています。
金や銀、胴の価値から鑑みて、購入するコインを選ぶのも一つの手段です。
監修者 葉山満
値上がり実績のあるアンティークコイン2選
ここまで価値あるアンティークコインの選び方についてご紹介してきましたが、実際に大きく値上がりした実績を持つアンティークコインは、「ウナとライオン5ポンドプルーフ金貨(1839年発行)」「ジョージ6世5ポンドプルーフ金貨(1937年発行)」の2枚をご紹介します。
実際に価値が上がったコイン①「ウナとライオン」
この記事でも度々登場する、”世界一美しい金貨”と呼ばれる「ウナとライオン」ですが、イギリスで1839年に発行された5ポンドプルーフ金貨は世界で400枚しか発行されていない貴重な通貨です。
400枚しかないという希少性によって、市場に出てくるたびに最高額を軒並み更新しています。
実際に価値が上がったコイン②「ジョージ6世」
ジョージ6世5ポンドプルーフ金貨は、1937年に発行された、いわゆる”モダンコイン”(アンティークコインよりも新しいコイン)と位置付けられていたものです。
最近になってアンティークコインと呼ばれるようになり、ジョージ6世の人柄やコインの美しさから、人気を博しているコインです。
発行枚数は5500枚で、こちらも大きく価格をあげています。
アンティークコインを購入するディーラーの選び方
最後に、アンティークコインを購入するディーラーの選び方をご紹介します。
アンティークコインを購入するためには、基本的にはディーラーやショップを通す必要がありますが、良いディーラーやショップを見つけるためにチェックしたいポイントをご紹介していきます。
ディーラーのセレクトポイント①持っている情報量やカタログ量をチェックする
良いディーラーやセレクトショップであれば、スタッフさんの持っている情報量や歴史に対する知識が豊富なはずです。
まずは話した時の情報量をチェックしましょう。
また、カタログに掲載されているコインの種類も、国や地域、年代や、価格帯が幅広く取り揃えられているかもチェックすることがおすすめです。
ディーラーのセレクトポイント②オークションの主催実績をチェックする
また、ディーラーが過去にどれくらいオークションを主催していたかチェックすることもおすすめです。
オークションを主催できるということは、数が多ければ多いだけ、それだけの知識量や在庫を持っており、経験豊富なディーラーであるという証明になります。
まとめ|アンティークコインの価値について
ここまでアンティークコインの価値についてご紹介してきました。
アンティークコインは、価値が下がりにくいだけでなく、骨董品としての側面も持っており、投資をしているうちに、人によっては趣味になってしまうほど、魅力的な資産であるということをお分かりいただけたのではないでしょうか?
日本では、まだ馴染みのないアンティークコインですが、この機会に一度、アンティークコインのディーラーさんに相談に行ってみてはいかがでしょうか?
監修コメント(葉山満)
アンティークコインは持続的にとても人気のあるコインも、もちろんありますが、
どのコインが、いつどのようなタイミングで人気が急上昇するかは分かりません。
しかしそれは全ての人に平等にチャンスがあるということを意味しています。
ですので、世界のアンティークコインの情報をいち早く入手することがとても大切になってきます。
大学卒業後に米国株取引を始める。FX、先物、CFDを経験し、2017年のビットコインの高騰を見て仮想通貨取引に参入。主に仮想通貨FXで大きな収益を得ている。長年の経験から投資・金融に関する情報を発信。現在は、Fact of Moneyの運営責任者として記事の執筆・検収を行う。