物損事故の損害賠償の自動車保険損害賠償はどうなる?慰謝料や修理費、示談金の相場や流れを徹底解説

物損事故の自動車保険損害賠償

記事監修者紹介
ファイナンシャルプランナー髙橋洋子髙橋 陽子
日本生命保険相互会社にて3年半以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2019年4月より当メディアにて保険をはじめとする金融記事の監修を務める。

店舗や建造物の損害はどこまで請求できる?

車以外の物損事故の損害賠償について

自動車が建物などに衝突して、建物などが壊されるような事故はよく起きます。この事故のように、自動車など衝突や接触によって、建物などが壊された被害者は、その壊された建物等の被害分の損害賠償の請求ができます。

建物、壁、塀、玄関などが交通事故で破壊された場合の損害賠償

まず、自動車の接触や衝突により、建物、壁、塀、玄関などが損壊した場合を考えます。この場合には、これらの者の所有者は、その建物等が修理可能であれば修理費を、修理不可能であれば買替え費用を、それぞれ加害者などに請求できます。

ただし、建物などが修理可能であっても、修理費が高額で、修理費用が買替え費用を上回る場合には、修理可能であっても、買替え費用が、賠償の請求ができる金額の上限となります。

ペットが交通事故で死傷した場合の損害賠償

また、交通事故の被害により、人間ではなくペットが、ケガや死亡することがあります。この場合、ペットのケガの場合には、動物病院での治療費が、死亡した場合には、同種の動物のペットショップでの購入費や、平均的な販売価格が賠償請求できます。

なお、ペットが家族同然であったような場合には、裁判でペット死亡による慰謝料の請求が認められた場合もあります。家族同然のペットが交通事故で死亡した場合には、一応は、慰謝料を請求してみるのもよいでしょう。

交通事故の被害で営業を休止・縮小・廃止した場合の損害賠償

また、商店などに車が突っ込み、店舗が壊された場合には、その店舗を修理する費用の他に、店舗の修理に要する期間、商売ができなかったことによる営業利益の減少分を請求できる場合があります。

この場合の休業補償の算出は、過去の売上のデータから1日あたりの店舗の平均収入を求め、そらから、同様に1日あたりの必要経費を求めます。1日あたりの平均収入から必要経費を控除した金額に、交通事故の被害で休業した日数を乗じる方法によります。

ただし、この休業補償を請求する場合には、交通事故の被害が原因で、営業上の損失を被ったことを、被害者側が立証しなければ、加害者などに対して、賠償の請求ができません。

単に、事故で被害を受けた店舗の修理期間休業した場合には、立証はそう困難ではありません。しかし、事故が原因で廃業や事業縮小をした場合には、それが交通事故の被害が原因だと立証することは難しいかもしれません。

車の修理期間中に認められる損害とは?

修理期間中などに認められる損害とは

交通事故の被害で車が破損し、修理や買替えのために、自動車が使用できない場合があります。この場合、一般車の場合には、代車費用、営業者の場合には、休業期間中に車が使用できなかったことによる売上の減少分を、加害者等に賠償の請求ができます。

事故車が一般車である場合の修理期間中に認められる損害

まず、事故車が一般車であった場合には、修理期間、または、買替えのために必要な期間、レンタカーなどの代車を使用した場合には、その代車使用料を加害者等に請求できます。ただし、賠償の請求ができるのは、通勤で車を使用していた場合や、営業のために車をしていた場合等に限られます。

日常生活において、車を使用する必要性が認められない場合には、たとえ、交通事故の被害により車が使用できなくなったとしても、この代車使用料は、賠償請求の対象となりません。

また、代車使用料は、事故車と同等程度の車を代車として使用した場合の使用料となります。事故車が一般車であるにもかかわらず、高級車を代車とした場合でも、高級車の代車使用料は支払われず、一般車の代車使用料が支払われます。

事故車が営業車である場合の修理期間中に認められる損害

次に休車補償について考えます。タクシーやバスなど、営業で使用する車が事故の被害で破損して、修理や買替えのために、使用できなくなった場合、車の使用者は、営業上の損失を被ります。この営業上の損失分は、休車補償として損害賠償の対象となります。

休車補償の計算方法は、まず、事故車の事故前3ヶ月以上の売上から1日あたりの平均売上を算出します。それから、1日あたりの必要経費を差し引きます。この金額に、休車した期間の日数を乗じれば、休車補償の金額が算出されます。

この休車補償は、会社が事故車の代車を利用した場合には、請求できません。その場合には、休車補償の代わりに代車使用料が支払われます。代車を使用して営業を行えば、交通事故による営業上の損失は発生しないとみなされるためです。

なお、代車費用や休業補償は、示談交渉が長引いたために、必要以上に休車期間が長引いた場合には、その全額は賠償されません。一般的な場合に想定される合理的な期間分が、補償の対象となります。

車の修理費用はどこまで請求できるか?

交通事故で車が損壊した場合に請求できる費用の範囲について

交通事故の被害者となり、自分所有の車が破損した場合には、破損の程度に応じて、修理費用や車の買替え費用を、事故の加害者に請求できます。なお、この場合、被害者の側にも、事故発生に対する過失があれば、その過失分だけ、賠償金額が減額されます。

事故車が修理可能な場合

まず、事故で破損した車が修理可能である場合を考えます。この場合、修理費用の全額を加害者に請求できます。具体的には、自動車修理工場で修理費用の見積書を出してもらえば、過失割合を考慮しなければ、その全額を相手側に請求できます。

なお、修理したとしても、車が完全に事故前の状態に戻らない場合もあります。その場合には、車の評価損の埋め合わせとして、修理費用の20%~30%を上乗せして、加害者等に請求できます。

次に、事故で車が大破し、修復が不可能で廃車にするしかない場合を考えます。このようなケースでは、車の買替え費用を加害者等に請求できます。また、買換えた車の登録手続関係費等も合わせて請求できます。

事故車が修理不可能なケース

事故車が修理不可能なケースで、事故車が新車である場合には、新車の買い替え費用を請求できます。しかし、事故車が中古車である場合には、新車の買替え費用は請求できません。その車と種類・型式・年式などが同等の車の中古車市場での売買価格などを参考にした価格が、賠償できる価格となります。

なお、事故車が修理可能であるけれども、修理費用の見積もりが買替え費用を上回る場合には、修理可能であっても、買替え費用が損害賠償費用となります。すなわち、請求できる修理費用の上限は、買替え費用となります。

過失割合について

最終的に加害者や保険会社に請求できる賠償金額については、自己の過失割合が考慮されます。センターラインオーバーによる対向車との衝突事故の被害のように、加害者が事故の過失割合の100%を負担する場合には、算出した賠償金額の全額を加害者等に請求できます。

しかし、過失割合が被害者30%加害者70%だったり、被害者50%加害者50%だったりした場合、その被害者側の過失割合分だけ、賠償可能な金額が減額されます。たとえば、被害者の過失割合が30%で、事故車の修理費が70万円だったとすると、賠償可能な金額は30%減額されて、49万円となります。

物損事故で請求できる損害賠償の内容

物損事故による被害で損害賠償ができる範囲について

交通事故にあい、自動車が損傷する場合があります。一定の場合、事故の加害者等に対して、自動車の損傷等の物損事故による損害の賠償を請求できます。ただし、人身事故の場合と異なり、物損事故による損害の賠償請求の場合、一定の特徴があります。

まず、物損事故で受けた被害の損害賠償請求については、積極損害と消極損害が認められ、原則として慰謝料は認められません。人身事故の場合には、慰謝料が認められますから、この点がまず異なります。

物損事故の積極損害としては、修理可能な損害として、車両の修理費用、車両の評価損、建物・看板・塀の修理費用があげられます。また、車や物品が事故で大破して修理不可能となった場合の損害として、自動車や品物の時価相当額があげられます。

次に、消極損害としては、たとえば、自動車を修理に出した期間または自動車の買い替えのために必要な期間、事故のために車を使用できませんが、そのために事故がなかったならば受けることができた利益相当額があげられます。

物損事故の被害の損害賠償の特色

ところで、物損事故の場合には、人身事故の場合と異なり、次のような特色があります。まず、物損事故は、自動車損害賠償保障法が適用されません。したがって、自賠責保険が、加害者に代わり、賠償金を支払うことはありません。

そのため、物損事故の賠償は、加害者本人に請求することになります。ただし、加害者が任意保険の物損事故に関する特約結んでいれば、保険会社が加害者に代わって賠償金を支払うので、保険会社に賠償請求します。

また、加害者の交通ルール違反、故意または過失により、事故が発生し、被害者の車が壊されたことを、被害者側が立証する必要があります。物損事故の被害者となった場合には、事故状況を正確に記憶し、証拠などを揃えておく必要があります。

物損事故の賠償金の額は、それぞれの被害額をそれぞれの過失割合で相互に負担することになります。たとえば、AとBが自動車の衝突事故を起こし、Aの車が修理費50万円、Bの車が修理費60万円の物損被害を受けたとします。事故の過失割合はA30%:B70%とします。

この場合、AがBに対して事故の賠償として支払う金額は、Bの車の修理費60万円×30%=18万円です。一方、BがAに対して支払う賠償金額は、Aの車の修理費50万円×70%=35万円となります。