自動車の任意保険とは?7つの補償内容を詳しく解説!

自動車の任意保険

任意保険の補償内容には、全部で4つあります。まず1点目は、対物保証です。車がどこかに衝突すれば、何か物が壊れてしまう事はあります。その物に対する損傷金などは、保険の補償対象になる訳です。物だけではありません。人も対象になります。交通事故に伴い、誰かをはねてしまう事もある訳です。その際の治療費なども、任意保険の補償内容に含まれる訳です。3点目の補償内容は、搭乗者です。自動車事故によって被害を受けるのは、ドライバー本人だけではありません。誰か家族などが、一緒に乗っている事もありますが、その搭乗者も対象になる訳です。そして4点目は、人身障害です。誰かに対するケガの費用なども、任意保険の補償内容に含まれます。

自分の車が損害を受けてしまったら「車両保険」

後部を破損した自動車

所有する車を運転中に衝突したり接触したりして、車に損害が生じた場合に支払われるのが「車両保険」です。

車両保険の特徴

車両保険には次のの2種類があり、その違いは補償の範囲と保険料です。

  • 一般車両保険
  • エコノミー車両保険

一般車両保険

まず「他の自動車との衝突事故」はもちろんのこと、らくがき、盗難、火災といった「走行時以外の損害」や、ガードレールや電柱との衝突、崖からの転落といった「走行時における損害」を補償する「一般車両保険」と呼ばれるタイプがあります。一般車両保険は補償範囲が広くなる分、後述のエコノミー車両保険と比較して保険料が高くなります。

エコノミー車両保険

そしてこれから「走行時における損害」を除いた部分の損害を補償する「エコノミー車両保険」があります。エコノミー車両保険は「限定車両保険」または車同士の衝突事故に、走行時以外の損害を加えた形であるので「車対車+A」と呼ばれる場合もあります。さらに適用範囲を火災や台風、盗難などに絞った「限定A」や車同士の衝突事故に限定した「車対車」と呼ばれる条件もあります。エコノミー車両保険は補償の範囲が狭くなりますが保険料を安く抑えることができます。

一概にどちらの方が優れていているとは言えないため、自分にとってどちらのタイプが適しているのかを補償の範囲と保険料の面から総合的に判断することが重要になります。また、車両保険の補償額は車の製造後の経過年数により変化します。また設定補償額は希望に合わせて変更することも可能です。

事故の種類 一般車両 限定車両
エコノミー
車対車+A
車対車
他の自動車との衝突 丸 丸 丸
落書き・いたずら・窓ガラス破損 丸 丸 バツ
落下物との衝突 丸 丸 バツ
台風・洪水・高潮 丸 丸 バツ
盗難 丸 丸 バツ
火災・爆発 丸 丸 バツ
当て逃げ 丸 バツ バツ
自転車との衝突 丸 バツ バツ
電柱との衝突 丸 バツ バツ
転落・墜落 丸 バツ バツ

免責金額を設定して保険料をお得に

車両保険には免責金額が設定されている場合があります。免責金額とは保険金支払い時に自己負担となる金額のことで、定められた範囲内で設定することができます。

たとえば免責金額を5万円として車両保険に契約した後に自損事故を起こして車の損害が30万円となった場合、免責金額を差し引いた25万円が保険金として支払われます。残りの5万円は自己負担で修理費用に充てる必要があります。

免責金額を高く設定すると事故時の自己負担額は大きくなりますが、その分保険料を抑えることができます。逆に免責金額を設定しないと保険料も割高になります。

免責金額を設定していても自己負担が発生しないケース

免責金額分は自己負担することが原則ですが、損害分が満額支払われるケースもあります。それは自動車同士の衝突事故で相手に過失がある場合です。

さきほどの例では、免責金額を設定していたため5万円分は自己負担でした。しかしこれが相手との衝突事故で相手に50%の過失が認められたとなると、損害額30万円の半分の15万円が相手の賠償金(回収金といいます)となります。この額は自己負担額を超過するため実際には損害額を満額受け取る形となり自己負担は発生しないことになります。

相手からの回収金が免責金額を上回る場合は、自己負担は発生しないのです。また全損時にも免責金額は適用されません。

実際の自己負担額=免責金額ー相手からの回収金

免責金額を0円にする「免責ゼロ特約」

また保険適用範囲を相手の車がいる場合に限って免責金額を0円にする車対車免責ゼロ特約も用意されているケースが有ります。車の全損時には定められた車両保険金額を上限に保険金が支払われます。一般車両保険、エコノミー車両保険ともに免責額の設定ができます。免責額を上げることで保険料を安くすることもできます。

車両保険に付加すると便利な特約

車両保険に契約する際には、同時に契約すると便利な特約が数多くあるため合わせて検討しましょう。

車両新価保険特約
車に損害が起き全損で新車へ買い換える必要が有る場合に実際にかかる新車購入費用を補償します
車載身の回り品補償特約
車内の積載物の損害を補償します。
車両全損時費用特約
車が事故により全損となった場合に臨時費用が支払われます。
代車費用特約
車が走行不能となり修理が必要となった場合、修理中の期間に使用する代車の費用が支払われます。
事故付随費用特約
事故により車が走行不能となった場合に、臨時の宿泊費用、帰宅費用などが支払われます。
地震・噴火・津波車両全損時一時金特約
地震や津波での損害を補償します。車両保険単体ではこれらの災害による損害は補償されません。
車両保険まとめ
  • 自分の車両の破損を補償する
  • 「一般車両保険」と「エコノミー車両保険」という分類がある。保険会社によっては「一般車両保険」、「車対車+A」、「車対車」に分類されることもある
  • 補償額は車両価格によって決定される
  • 免責金額を設定することで保険料を安くする事ができる
  • 相手からの回収金が免責金額を上回れば自己負担は発生しない
  • 全損時には免責金額は適用されない

単独事故でも補償を受けられる「自損事故傷害保険」

電柱に衝突した車

自分が運転する車で自損事故を起こしてしまい、ケガをしたり万が一なくなったりしてしまった場合は自賠責保険からは保険金が支給されません。このようなケースで車を運転している人や同乗している人に対して保険金が支払われるのが「自損事故傷害保険」です。

自損事故傷害保険の特徴

この保険の特徴は自賠責保険ではカバーできない部分を補償することで、設定された保険金額にしたがってケガの程度や入院、通院時の経済的な負担を補償します。たとえばカーブを曲がりきれずガードレールに衝突した際、事故の衝撃で骨折してしまった場合や、雪道でスリップし田畑に転落した際に負傷してしまったというケースがそれに当たります。

自動車保険に加入する場合、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険に加えて車を運転する人や同乗する人の万が一に備えるための搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険が付帯されます。

自損事故においても基本的には人身傷害保険や搭乗者傷害保険から保険金が支払われますが、自損事故傷害保険を付帯することで、ごくまれに生じる不担保事例に遭遇した時の経済的損失をカバーすることができます。

たとえばエンジンを切った後、ハンドブレーキをし忘れて車が勝手に動き出し、引かれてしまい負傷してしまったという場合などです。この事例においても約款によって人身傷害保険や搭乗者傷害保険から保険金が支払われる場合もありますから、申し込み前に代理店もしくは保険会社に問い合わせておくことができます。

自損事故傷害保険は人身傷害保険に自動付帯される場合や、人身傷害保険の補償内容にすでに自損事故に関する補償が盛り込まれているケースも有りますから、必ずしも付帯しなければならないという補償ではありません。しかし万が一の場合に手厚い補償を備えておくことで経済的な損実をカバーすることができます。

支払われる保険金の内容

自損事故傷害保険により支払われる保険金の内容は定額で次の内容となります。

死亡保険金
死亡した場合は1,500万円の死亡保険金が支払われます。すでに後遺障害保険金、あるいは重度高度障害保険金が支払われている場合はその分を差し引いた額が支払われます。
重度後遺障害保険金
所定の重度後遺障害を負い、介護を要する場合は200万円が支払われます。
後遺障害保険金
後遺障害を負った場合は、程度により50万円~2,000万円の範囲で保険金が支払われます。
医療保険金

事故によるケガにより入通院した場合は、1日につき通院4,000円、入院6,000円の医療保険金が支払われます。ただし1回の事故につき100万円が限度です。
自損事故傷害保険まとめ
  • 単独事故であるため自賠責保険から保険金が受け取れない場合を補償する
  • 人身障害補償保険に契約している場合はそちらから優先して保険金が支払われる

無保険車の事故から身を守る「無保険車傷害保険」

事故に遭遇してケガをして後遺障害になった場合や死亡してしまった場合、加害者の加入する自賠責保険と任意保険から保険金が支払われるのが一般的です。しかしすべての人が任意保険に加入しているわけではなく、まれにですが加害者が無保険車を運転するケースが生じています。

この場合保険で治療費などの補償を受けることは難しく、相手の経済力次第では十分な賠償金を得られない場合もあります。また相手が保険に加入していたとしても限度額の設定により十分な補償を受けることができないケースもあります。この場合の事故を補償するのが「無保険車傷害保険」です。

無保険車傷害保険の特徴

無保険車とは自動車保険に入っていないか、入っていても補償内容が十分でない車を差します。具体的には次の状態の車のことです。

  1. 任意保険の対人賠償責任保険に加入していない車
  2. 対人賠償責任保険に加入していても、運転者の故意の事故であったり、盗難車の運転、年齢条件や家族限定特約の条件に違反しているなど、相手の保険が適用とならない場合
  3. 対人賠償責任保険に加入していても、対人賠償責任保険の保険金額が、損害額を下回る場合
  4. ひき逃げなど加害者を特定できない場合

無保険車からの事故では相手から十分な賠償を受け取ることができません。そのため無保険車傷害保険によって足りない分の損害を補償することになります。ただしすでに人身傷害補償保険に契約している場合は、人身傷害補償保険からの保険金の額が無保険車傷害保険からの保険金の額を下回る場合にのみ適用されます。

また加害者が対人賠償責任保険に加入していた場合は、損害額から対人賠償責任保険による補償を差し引いた金額が無保険車傷害保険から支払われます。

無保険車傷害保険は人身傷害保険の特約として販売されるケースが多くなっています。無条件でこの特約が付帯されるケースや条件付きで付帯できるケースも有りますから申し込む前に確認しておくことが大切です。死亡や後遺障害といった重大事故の場合には損害額も計り知れない金額になることがあります。それである程度高額な保険金が設定されています。

国内大手の損害保険会社の場合を例として取り上げると、人身傷害保険に自動付帯する形で無保険車傷害保険が用意されており、最高2億円までが補償されます。

無保険車障害保険の補償対象

補償の対象になるのは記名被保険者と配偶者および同居の親族や被保険者が所有する自動車に搭乗している人です。保険金は搭乗者一人あたりに対して支払われます。ただし人身傷害保険が支払い対象となる事故の場合は人身傷害保険から優先して保険金が支払われます。

注意点は補償の対象になるのは後遺障害もしくは死亡した場合でそれ以外のケガについては補償されません。ケガでの補償を得るためには人身傷害保険もしくは搭乗者傷害保険が付帯されている必要があります。

さらに車や携帯品などの物への補償は含まれません。車に損害が生じた場合は車両保険で補償されますが、車両保険に未加入の場合は補償されません。この場合は相手に対して損害賠償請求が必要になります。

無保険車傷害保険まとめ
  • 相手の車が無保険車であったため十分な賠償が得られない場合に補償される
  • 死亡、または後遺障害の場合にのみ支払われる
  • 人身傷害補償保険による保険金の額が、無保険車傷害保険による保険金の額より下回る場合にのみ無保険車傷害保険からの保険金が支払われる

「搭乗者傷害保険」でケガの補償を手厚く

保険契約のある車に搭乗している人が事故によりケガをしたり死亡してしまったりした場合に補償されるのが「搭乗者傷害保険」です。

搭乗者傷害保険の特徴

運転者、同乗者に関わりなく契約している車に乗っている方全員が補償対象になります。また支払われる保険金額は実際の損害額に関係なく契約時に定められた金額を受け取ります。たとえば死亡した場合は1,000万円が定額で支払われたり、ケガをした場合は、ケガの部位や症状に応じて保険会社が定めた金額を保険金として受け取る事になります。

支払われる保険金の内容

搭乗者傷害により支払われる保険金の内容は保険会社により異なる事がありますが、おおむね次の内容となります。

死亡保険金
事故の日から180日以内に死亡した場合は、契約時に設定した保険金額の全額が支払われます。すでに後遺障害保険金、あるいは重度高度障害保険金が支払われている場合はその分を差し引いた額が支払われます。
重度後遺障害保険金
事故の日から180日以内に後遺障害が生じ介護を要すると認められる場合は、契約時に設定した保険金額の10%が支払われます。
後遺障害保険金
事故の日から180日以内に後遺障害が生じた場合は、症状に応じて契約時に設定した保険金額の4%~100%が支払われます。
医療保険金
事故によるけがで入通院日数が4日以下の場合は一律1万円が支払われます。また入通院日数が5日以上の場合はけがの部位・症状に応じて各保険会社が定めた一定の金額が支払われます。通常、保険金は治療が終了した後、つまり入院や通院の日数がはっきりした後に支払われることになるのですが、衣装保険金はその前に保険金を受け取ることができ、これが大きな特徴となります。保険金の受け取りに時間がかからない分、入院や通院時の経済的不安が軽減されます。
    医療保険金の例:そんぽ24の場合(2013/11/1現在)

  • 頭部の打撲:5万円
  • 手足の骨折:20万円
  • 臓器の損傷:90万円

※上記の支払いの条件や保険金額は保険会社によって異なることがあります。

搭乗者障害保険のメリット

人身傷害補償保険が登場するまでは同乗者のケガや死亡の場合に備えて搭乗者傷害保険を付帯するのが一般的でしたが、現在は人身傷害補償保険に追加して保障を手厚くするために特約として付帯するケースが増えています。搭乗者傷害保険のメリットは部位や症状によって保険金額が定められているため、手早く保険金が受け取れることにあります。

たとえばもらい事故の場合、相手の対人賠償責任保険から保険金が支払われますが、それとは別に搭乗者傷害保険で設定されている保険金額を受け取ることができます。この保険金を当座の資金として仕事の休業などで生じる経済的損失に備えることができます。

事故で負傷をした場合の経済的損失は単なる治療費だけにとどまらず家計への影響も生じます。一家の大黒柱が当面の間仕事ができなくなるとすれば、住宅ローンや食費、子どもの学費など生活全体に大きな影響を及ぼすことになります。万が一の時の経済的な補償を提供してくれるのも搭乗者傷害保険のメリットです。しかも相手方の賠償とは別に受け取ることができるため、事故で受けた精神的苦痛を多少なりとも和らげることができるという利点もあります。

人身傷害補償保険との違い

搭乗者傷害保険への契約を検討する際には、人身傷害補償保険との違いを比較することが必要です。

比較ポイント 搭乗者傷害保険 人身傷害補償保険
補償の対象 契約している車に搭乗者全員 搭乗者傷害保険の対象者に加え、被保険者とその家族は歩行中の自動車事故や他人の車に乗車中の事故についても補償される。ただし人身傷害補償保険を車内の補償のみに限定すると、搭乗者傷害保険と同様に契約している車に搭乗中の事故のみ補償される。
保険金の内容 契約時に約定した定額の保険金を受け取る。またケガの場合は、部位・症状別に定められた金額を受け取る。 治療費に加え、治療関係費、休業損害、逸失利益といった実際の損失額を受け取る。
搭乗者傷害保険まとめ
  • 契約している車の搭乗者が自動車事故により死傷した際に補償される
  • 保険金額は部位・症状別に一律に決まっている
  • 実損額の調査が無くスピーディに保険金が支払われるため当座の費用にあてることができる
  • 人身傷害補償保険との違いを把握することが大切である

「人身傷害補償保険」は搭乗者のケガなどを実損害分だけ補償

「人身傷害補償保険」は車を運転中もしくは乗車中に事故に遭いケガをした場合、もしくは万が一死亡した場合に支払われる補償です。

人身傷害補償保険の特徴

この補償の特徴は、自身、相手双方の過失割合にかかわらず実損払いであることです。実損払いとは過失割合にかかわらず保険金額を限度に被った損害額に対して支払う保険金のことを指します。

補償の範囲は車を運転しているドライバー本人、同乗者、契約車以外の車に乗車して事故に遭いケガや死亡した場合、歩行中や自転車での車との接触事故でケガをした場合などにまでおよびます。補償の範囲は希望に合わせて範囲を変更することが可能ですから経済状況や家族構成を考えて設定することが大切です。

人身傷害補償保険は補償を受ける人の過失割合に関係なく補償を受けられる実損払いというメリットが有ります。たとえば損害額が5,000万円の場合、相手方の過失割合が6割で補償を受ける人の割合が4割の場合、人身傷害保険に未加入の場合は相手の対人賠償責任保険から3,000万円までしか受け取ることができず、残りの2,000万円は自分で負担しなければなりません。

しかし、人身傷害補償保険に入っている場合は過失割合に関係なく実損払いとなるため、残りの2,000万円は人身傷害補償保険から支払われることとなり全額の5,000万円が補償されます。

人身傷害補償保険の2つの補償タイプ

保険会社によっては、2つの補償タイプが用意されていることがあります。

補償タイプ 事故ケース
車内・車外ともに補償 ・契約中の車に乗車中の事故
・歩行中、自転車走行中の自動車事故
・他の車に乗車中(バス・タクシーも含む)の事故
車内のみ補償 ・契約中の車に乗車中の事故

車内・車外ともに補償するタイプは、「契約している車に乗車中の事故」だけではなく、「歩行中や自転車走行中の自動車事故」、または「友達の車やバスに乗車している際の事故」も補償されます。車内・車外ともに補償するタイプの人身傷害補償保険は補償の範囲が拡大されますが、その反面、保険料が割高になります。

また自分以外の家族がすでに車内・車外ともに補償するタイプの保険に契約していたり、1台目の車に車内・車外ともに補償するタイプの保険をつけている場合に再びこのタイプの保険を契約してしまうと補償内容が重複してしまいます。

そのため2台目以降に購入する車は車内のみ補償するタイプの保険にするなどして補償内容の重複を避ける必要があります。ただし1台目を「車内・車外ともに補償」、2台目を「車内のみ補償」とした場合、1台目の保険を解約すると車外の補償が無くなってしまうことも留意しておきましょう。

自分や同乗者を補償する同様の保険に搭乗者傷害保険があります。人身傷害補償保険の契約を検討する際には搭乗者傷害保険との違いを把握する事も必要です。

人身傷害補償保険まとめ
  • 自分や同乗者が自動車事故により死傷した際に補償される
  • 過失割合にかかわらず実損額がすべて補償される
  • 保険会社によっては、「車内の事故」のみを補償するタイプだけではなく、「車内・車外の事故」ともに補償するタイプも用意してある
  • 補償内容が他の保険と重複することがある
  • 「搭乗者傷害保険」との違いを把握すること

相手の器物を破損した場合は「対物賠償責任保険」

車を運転中に事故を起こし相手の車や物品に損害を与えた場合の補償を提供するのが「対物賠償責任保険」です。対人賠償責任保険が人への補償であるのに対して対物賠償責任保険は物への補償になります。

対物賠償責任保険の特徴

対物賠償責任保険の補償範囲は相手の車だけでなく物品であれば補償の対象になります。たとえば車を運転中にバックで見知らぬ人の家の塀を壊してしまったり、有料駐車場で誤って自動精算機のバーを折ってしまったりといった事故も補償の対象になります。また車や物品への直接損害だけでなくそれに伴う休業損害や代車の手配にかかった費用といった間接損害に対しても補償されます。

損害 内容 損害例
直接損害 物品に対する直接的な損害 ・相手の車
・ガードレール、カーブミラーといった公共物
・第三者の建物
間接損害 物品の破損により相手の営業活動ができなくなったり、付随して発生した費用などの間接的な損害 ・店舗の破損による休業損害
・代車費用

物損事故の高額賠償判決例

物損事故においても、対人事故と同様に思いがけないほど高額な賠償金が発生する例があります。

被害物件 損害額 判決年月日
積荷(呉服・洋服・毛皮) 2億6,135万円 H6.7.19
店舗(パチンコ店) 1億3,580万円 H8.7.17
電車・線路・家屋 1億2,036万円 S55.7.18
電車 1億1,347万円 H10.10.26
積荷 6,124万円 H12.6.27

このように物損事故の賠償額は1億円以上にも上ることがあり、とても個人で賠償できる額ではありません。対物賠償責任保険はこのような物損事故の高額賠償に備えるために必要な保険と言えます。

支払われる金額は時価額まで

補償限度額は自分で設定できますが、高額な賠償金が発生することを考えると無制限での加入がオススメです。賠償金額が補償金額を超えると自己資産から費用を捻出しなければならなくなるからです。たとえばブレーキとアクセルを踏み間違えて店舗を破壊してしまった事故では1億3千万円もの賠償金の支払い判決が出た事例があり、限度額を設けないことで万が一の高額な賠償にも備えることができます。

しかし対物賠償の場合相手の物品の時価額での支払いとなるため、購入時の金額を全額補償できるわけではありません。たとえば車の場合は購入時の価格と全損時の価格が異なります。時間とともに価値が低下するためです。

修理費用が時価額を超えてしまったら「対物全損時修理差額費用特約」

そのため修理費用が時価総額を超える場合には、時価総額を限度に補償されることになります。しかしこのような時にもその場合に備えることができるのが対物超過修理費特約と呼ばれる特約です。

この特約は事故で相手に損害を与えた場合、相手の車の時価総額を超える修理費用を、定められた限度額を上限に補償する特約のことです。この特約により超過分がカバーできるため、トラブルを未然に防ぐこともできます。特約の種類は保険会社ごとに異なりますから、申し込み前に相談しておくことが大切です。

対物賠償責任保険は車の運転中での通常の事故には適用されますが、法令に違反する行為や故意による事故、無免許運転などでは補償されないことがあります。法令を順守し安全運転を心がけ、未然に事故を防ぐように心がけることが大切です。

対物賠償責任保険まとめ
  • 自動車保険には必ずセットされている
  • 「相手の車」や「他人の財物」を破損させた場合の賠償責任を補償
  • 車の修理費用は時価額として算出される
  • 賠償金額は非常に高額になるケースがある
  • 保険金額は「無制限」を設定することが推奨されている

相手にケガなどをさせた場合は「対人賠償責任保険」

自動車事故で万が一、人身事故を起こしてしまった場合に必要なのが「対人賠償責任保険」です。

対人賠償責任保険の特徴

この保険は保険を契約している被保険者が自動車事故により車の搭乗中の相手や歩行者を死亡させたり、けがをさせてしまい法律で定められている損害賠償責任を負わなければならなくなった場合に、自賠責保険の補償を超えた分について保険金が支払われるものです。

人身事故を起こした相手への賠償内容は治療費、休業補償、慰謝料に加え、相手が死亡、後遺障害になった場合は本来事故がなければ得る事ができた収入を考慮した逸失利益も含まれ、非常に高額な賠償責任が生じることがあるため、対人賠償責任保険は自動車保険の中ではもっとも重要な保険と言えるでしょう。

近年の高額賠償判決例

高額とは実際どれほどの賠償額に上るのでしょうか?近年の判例における高額賠償判決例を見てみましょう。

態様 損害額 判決年月日 被害者 職業
死亡 3億6,750万円 H18.6.21 38歳男性 開業医
後遺障害 3億594万円 H19.12.21 7歳男性 小学生
後遺障害 3億2,545万円 H21.5.14 44歳男性 会社員
後遺障害 3億4,791万円 H19.1.31 18歳女性 高校生
後遺障害 3億3,531万円 H16.12.21 32歳男性 銀行員

この例からわかるとおり、死亡、後遺障害における賠償額は数億円にもなり、とても自賠責保険だけ補償できる金額ではありません。対人賠償責任保険はこのような事故を起こしてしまった場合の高額賠償に備えるために必要な保険と言えます。

どれくらいの保険金額を設定すれば良いか?

対人賠償責任保険は自動車保険に必ずセットされている保険です。特に賠償損害額が年々上昇していることから、高額補償をセットするケースが大部分を占めています。

たとえば若く将来性のある若者の命が事故により失われてしまった場合には、将来得られたであろう所得に加えて家族への慰謝料を含めて高額な賠償金が必要になります。過去の裁判による判決事例では、29歳の男性に対して後遺傷害を負わせてしまった事故において3億8千万円もの損害賠償判決が下されています。死亡しまった場合にはより高額な損害賠償責任が生じる可能性があります。そのため、対人賠償責任保険には無制限の保険金額を設定することが勧められています。

中には運転に自信があり、これまで一度も事故を起こしたことがないので大丈夫だという人もいますが、明日何が起きるかはだれも知りえないことですから、出合い頭に相手に傷を負わせてしまうことも十分起こりえます。ですから過信せず、高額補償を付帯したほうが良いと言えるのです。

支払われる保険金額の計算方法

もしあなたが運悪く自動車事故により相手にけがをさせてしまい、法律上の賠償責任を負わなくてはならなくなったとしたら、対人賠償責任保険によりどれだけの保険金が支払われるでしょうか?ここでシミュレーションしてみましょう。

自動車事故によりけがをさせてしまった相手はけがの治療や手術、病院への通院、仕事の休業などにより600万の損害を被ってしまいました。また事故によるあなたの過失割合は80%と認定されています。自賠責保険によって賠償される金額はけがの場合は最高120万円までです。

  • 相手の損害額「600万円」
  • 自分の過失割合「80%」
  • 自賠責保険で支払われる金額「120万円」

この場合、損害額600万円のうちあなたが支払わなければならないのは過失割合80%を考慮した480万円です。20%分の120万円は相手の負担となります。あなたが支払う必要のある480万円のうち120万円は自賠責保険によって支払われるので、これを差し引いた360万円が対人賠償責任保険によって支払われることになります。以下の計算式から対人賠償責任保険の支払額は決定されます。

対人賠償責任保険による補償額=
(相手の損害額 × 自分の過失割合) – 自賠責保険による補償額

保険金が支払われないケース

対人賠償責任保険は支払われないケースもあります。たとえば故意により事故を起こした場合などです。たとえ対人賠償責任を無制限に設定し、高額補償を付帯したとしても、法令に違反して事故を起こした場合には支払われないということを意識して、法令を遵守し安全運転を心掛けるようにすることが大切です。加えて、飲酒運転などの事故の場合は損害を被った相手に対してのみ保険金が支払われます。

対人賠償責任保険まとめ
  • 自動車保険には必ずセットされている
  • 「車に搭乗中の相手」や「歩行者」を死傷させた場合の賠償責任を補償
  • 自賠責保険の補償額を超えた分だけ保険金が支払われる
  • 賠償金額は非常に高額になるケースがある
  • 保険金額は「無制限」を設定することが推奨されている

任意保険の7つの補償内容一覧

7つ

自賠責保険だけでは被害者の身体に対する最低限の補償しかカバーできない事がおわかりいただけたと思います。自分の怪我の治療や車の修理に必要な費用を賄うためには任意保険に加入する必要があります。

任意保険の7つの補償

任意保険とは任意で加入する自動車保険のことで、加入するかどうかはその人の自由です。仮に加入しなくても罰せられることはありませんし、誰かに強制的に加入させられることもありません。しかし、日本では任意保険に加入している人がほとんどで、加入していない人の方が珍しいです。

自賠責保険に加入していても補償されるのは相手が死亡したり、怪我した場合のみなのでその他は補償されないので自己負担となります。また相手を死亡させた場合だと自賠責保険の補償だけでは足りないことが多く、不足分を自分で支払う必要が出てきますが、任意保険に加入していると不足分や補償されない部分を保険会社が補償してくれます。

任意保険の基本となる補償には以下の7つの補償があり、これらの補償に加えて補償の範囲を広げられる特約を付帯することができます。

補償対象 保険 内容
相手への賠償 対人賠償責任保険 相手を死傷させて賠償金額が自賠責保険の限度を超えた場合、超えた部分の金額を補償します。
対物賠償責任保険 相手の車や財産に損害を与えた場合の賠償額を補償します。
自身や同乗者の死傷に対する補償 人身傷害補償保険 自分や同乗者が死傷した場合の補償を実損額で受けることができます。
搭乗者傷害保険 自分や同乗者が死傷した場合の補償を部位・症状別に定められている金額で受け取ることができます。
無保険車傷害保険 自分や同乗者が死亡、または後遺障害になったが、相手が無保険で十分な賠償を受けられない場合に補償を受けられます。
自損事故傷害保険 自損事故であったため自賠責保険への請求ができない場合に補償を受けることができます。
車の損害に対する補償 車両保険 自分の車が事故やいたずらなどで破損し、修理が必要になった場合に支払われる補償です

相手への賠償

「対人賠償責任保険」「対物賠償責任保険」は事故を起こしてしまった相手に対する補償で、どの保険会社もこの2つは基本補償に含まれています。

「対人賠償責任保険」は事故により相手を死亡もしくはケガをさせ、自賠責保険の限度額を超えた場合に支払われる補償です。

「対物賠償責任保険」は物に対する補償で、相手の車を傷つけてしまったり、塀などを破壊してしまったりした場合に支払われる補償のことを指します。補償限度額は時価額となっており、物品を購入した時の値段ではありません。対物賠償責任保険は最高無制限までの補償が付帯できますが、物品により最高額が制限されているものもあります。

自身や同乗者の死傷に対する補償

「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」「無保険者傷害保険」「自損事故保険」は、自身や同乗者の死傷に対する補償です。

自身や同乗者が死傷した場合

「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」とは車を運転する人、同乗者がけがをしたり死亡したりした場合に支払われる補償です。

「人身傷害保険」とは車を運転していた人、また同乗者に対して支払われる補償のことです。特徴としては補償額がを過失割合に左右されず、実損分の補償が受けられることです。そのため出合い頭での事故など責任割合が分散する場合でも補償限度額を上限に補償されるため、過失割合により補償額が減額される心配がありません。

「搭乗者傷害保険」も同様に車の搭乗者に対する補償ですが、人身傷害保険のように実損額ではなく、ケガの部位や症状に応じて定額の保険金が支払われる点が異なります。人身傷害保険が主流となってきたため現在は付帯する人が少なくなってきました。

保険商品により、両方を契約することができる場合もあり、補償額を増やすことができます。「人身傷害保険」、「搭乗者傷害保険」ともに相手が無保険車の場合に補償される「無保険車傷害保険」が自動付帯されているケースがほとんどです。

相手から十分な補償を得られない場合

「無保険者傷害保険」「自損事故傷害保険」は自賠責保険や任意保険の上記の補償では相手から十分な補償が得られない場合に効力を発揮します。

「無保険者傷害保険」は事故により自身の車に乗車していた人が死亡、または後遺障害になった場合、相手が無保険か相手からの補償内容が不十分であった場合に搭乗者に十分な補償が支払われない場合の補償です。

「自損事故傷害保険」は相手がいない状態で事故を起こしてしまった場合にけがをしてしまった場合に支払われる補償です。

車の損害に対する補償

「車両保険」は自分の車が事故により破損したり、いたずらや落書きにより修理が必要になった場合に支払われる補償です。自動車同士の事故から、自損事故、自然災害、他人からのいたずらまでカバーする「一般車両保険」と呼ばれるタイプや、それから自損事故を補償から外した「エコノミー車両保険」と呼ばれるタイプなど、いくつかのタイプからお好みの補償を選ぶことができます。