交通事故の調停・民事訴訟とは?流れや訴訟費用、弁護士費用についてわかりやすく解説

交通事故の調停・民事訴訟

交通事故に関連して、裁判や調停になることもありますが、そのときに弁護士を雇うことが必要になるケースもあります。そのときにかかる費用には、着手金、報酬金、旅費、実費などがあります。そして、裁判にはその訴訟費用があります。弁護士に依頼したほうがよい案件もあるようです。それは、加害者が被害者を交通事故で死亡させたり重傷を負わせた場合と被害者に事故で死亡した場合や重度の障害が残った場合、示談交渉が決裂して裁判になった場合です。また、この弁護士を選ぶ際にも、信頼関係が大切になりますし、交通事故に精通していることが大切です。
記事監修者紹介
ファイナンシャルプランナー髙橋洋子髙橋 陽子
日本生命保険相互会社にて3年半以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2019年4月より当メディアにて保険をはじめとする金融記事の監修を務める。

裁判で弁護士を雇うと必要になる弁護士費用と訴訟費用

裁判で弁護士を依頼すると必要になる弁護士費用

裁判での手続きを弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。これは、大まかに分類すると

  • ①着手金
  • ②報酬金
  • ③旅費・日当
  • ④実費

となります。なお、大きな事件で着手金と報酬金が高額になる場合には、③の旅費・日当と④実費をサービスとする弁護士もおります。

着手金について

まず①の着手金についてです。現在は弁護士報酬の統一基準は廃止されており、報酬はそれぞれの弁護士が独自に定めます。しかし、弁護士の着手金や報酬金の大まかな目安を知るにはこの基準が有効ですから、この基準にもとづいて考えてみます。

廃止前の弁護士統一基準では、依頼人が起こした訴訟の請求額(訴額)と判決により認められた賠償額に基いて、弁護士報酬が定められています。それによると、着手金は訴額125万円までは10万円、訴額1,000万円で59万円、訴額1億円で369万円などとなっています。

報酬金について

②の報酬金とは、判決で認められた依頼人が受けることのできる金額によって、定まる報酬のことです。簡単に言えば、成功報酬のことです。敗訴して原告が受けることのできる金銭が0円の時は、この報酬金は支払われません。

弁護士統一基準によると、たとえば、判決額が100万円の場合には16万円、判決額が1,000万円の場合には118万円、判決額が1億円の場合には738万円などとなっています。当然ですが、判決で確定した原告への支払金額が大きければ大きいほど、報酬金は高額になります。

旅費・日当、実費について

③の旅費・日当とは、事故の調査のために出張した際に、その出張に係る費用のことです。また④の実費とは、弁護士が活動するための通信費、コピー代、調査費用が該当します。いずれも、依頼人が弁護士費用として負担します。

訴訟費用について

訴訟費用とは、訴訟を起こす際に支払う手数料のことです。この手数料は、あらかじめ法律によりきめられた金額を、提出する訴状に収入印紙を貼ることにより支払います。この訴訟費用は、訴状に記載された請求金額(訴額)により定まります。

たとえば、訴額が100万円の場合には訴訟費用は10,000円です。訴額が500万円の場合には30,000円です。訴額が1,000万円の場合には、50,000円です。弁護士費用に比べれば、訴訟費用はそんなに高くはありません。

なお、訴訟を提起する際には、訴訟費用のほかに、郵券(切手)の予納が必要になります。裁判を起こしますと、裁判所から相手側に対して訴状の副本や呼び出し状を送付する必要があります。その際の切手は、あらかじめ原告が用意して裁判所に届けておかなくてはなりません。

なお、どのくらいの郵券を予納すればよいかについては、裁判所によって異なりますから、訴える前に訴えようとする裁判所にあらかじめ問い合わせておきます。訴状を裁判所に提出する際には、訴額に対応した金額の収入印紙と一定の金額の切手をあらかじめ用意しておかなくてはなりません。

交通事故紛争の解決に弁護士が必要な場合

紛争解決に弁護士を依頼した方がよい場合

紛争解決のために弁護士に依頼した方がよい場合は、3つのケースが考えられます。1つは、加害者が被害者を交通事故で死亡させたり重傷を負わせた場合で、刑事裁判にかけられているよう場合です。そのような場合には、判決の言渡しまでに示談交渉がまとまれば、罰金刑になるとか執行猶予が付くということがよくあります。

その場合には、刑事裁判の判決前までに確実に示談交渉をまとめておく必要があります。ただし、被害者の主張を100%認めればすぐに交渉はまとまりますが、それは誰でもできます。ですから、急いで交渉をまとめつつ、できるだけ加害者の不利益にならないように示談をまとめるには、弁護士が必要になります。

2つ目は、被害者に事故で死亡した場合や重度の障害が残った場合などです。この場合は、請求する賠償金額が大きくなります。ですから、過失割合の算定や逸失利益の計算次第では、賠償金額が大きく変わります。このような場合には、示談交渉の小さなミスが大きな不利益を招きますから、プロの弁護士に依頼した方がよいです。

3つ目は、示談交渉が決裂して裁判になった場合です。裁判になった場合には、加害者側は代理人として弁護士か賠償問題に詳しい保険会社の示談担当者を、代理人として立ててくるのが普通です。ですから、素人の被害者本人が対応したのでは、勝てる裁判も負けてしまう場合があります。

本人訴訟で、裁判所での弁論などで失敗し、示談の際に加害者側の提示した金額よりも低い金額を認める判決が出るかもしれません。そうなったら、費用をかけて裁判を起こした意味がまったくなくなります。最初から訴訟に負けても良いと考えている場合は別として、裁判に出る場合は、被害者側も弁護士を依頼したほうが適切です。

示談交渉を弁護士に依頼しなくてもよい場合

反対に、弁護士に依頼しなくてもよい場合があります。たとえば、示談交渉の際に、被害者側の要求額と加害者側の提示額の差が200万円以内であれば、弁護士費用などを考えれば弁護士に依頼することは割に合わないといわれています。

また、被害者が請求する賠償金額がそれほど高くない場合も、高額の弁護士費用をかけてまでも示談交渉を有利に進める必要性は低いですから、弁護士を頼む必要は低くなります。

弁護士に依頼する場合どのような弁護士を選ぶか

なお、示談交渉を弁護士に依頼する場合には、どの弁護士に依頼するかが重要な問題となります。依頼者と弁護士には相互の信頼関係が非常大切です。ですから、面識のない弁護士に依頼することはほとんどなく、大半は、知人・友人・顧問先からの紹介された弁護士に依頼することになります。

また、交通事故の損害賠償額の算定に関しては、過失相殺や逸失利益など難しい問題が多いです。また、交渉の相手方も交通事故に精通した保険会社の示談担当者や弁護士です。したがって、被害者側も、交通事故に精通した弁護士を選ぶ必要があります。

民事訴訟による交通事故紛争の解決

民事訴訟による解決の特徴

示談交渉がまとまらず、また、調停による解決もできなかった場合には、最後は民事訴訟によって解決します。いわゆる「裁判」による解決です。もちろん、裁判に至るまでに、必ず示談交渉や調停を行わなくてはならないということはありません。いきなり裁判を起こしても問題はありません。

裁判になると、当事者の合意の有無にかかわらず、裁判官が一方的に判決を下し、当事者は強制的にその判決に従わなくてはなりません。その意味では必ず解決します。もちろん、確定判決には強制執行力が付与されています。裁判所の判決に従わない場合には、強制競売などの手続きが予定されています。

しかし、当事者間の紛争を解決する効力は絶大ですが、裁判になると、解決に至るまでは、長い時間と多くの費用と多大な労力が必要となります。ですから、一般的には、示談や調停で解決できなかった場合に、最後の手段として利用される方法です。

民事訴訟の途中で和解する場合について

また、交通事故の賠償金に関する裁判に関しては、実際に裁判になった場合でも、最後の判決まで進むことはあまりありません。事件の多くは、裁判の途中で和解(示談)により解決してしまいます。

なお、裁判の途中で和解した場合には、和解内容をもとに和解調書が作成されます。この和解調書にも、当事者が和解調書の内容に従わない場合には、強制執行の手続きを受けるという強制力が付与されています。

民事訴訟の手続きについて

裁判を起こす場合には、裁判所に訴状を提出します。裁判を起こす裁判所は、被害者の住所を管轄する裁判所、事件の発生場所を管轄する裁判所、加害者の住所を管轄する裁判所、いずれの裁判所に対しても訴えを起こすことができます。

また、加害者に要求する事故の賠償金の金額が140万円以下の場合には、簡易裁判所に対して訴えを起こします。一方、140万円を超える賠償金額を求める訴えを起こす場合には、地方裁判所に対して行います。

裁判を起こすための費用は、手数料に関しては、たとえば、加害者に求める賠償金の金額が100万円ならば10,000円、1,000万円ならば50,000円です。訴状に印紙を貼付して納付します。この他にも、裁判所と当事者間の書類のやり取りに必要な郵便切手を納付する必要があります。なお、この切手については各裁判所で異なりますので、あらかじめ問い合わせをしておきます。

なお、裁判は本人が行うことも可能です。しかし、相手側は弁護士か交通事故の賠償問題に明るい保険会社の事故担当者です。ですから、本人で訴訟を行うと勝てる訴訟も負けてしまう場合があります。そのために、たいていは弁護士に依頼して訴訟を起こします。この場合には、別途、弁護士費用が必要になります。

裁判を起こす前に確認しておくべき事項

また、裁判を起こす前に確認しておく事項があります。それは、加害者に資力があるかどうかです。加害者が提示する賠償金額に不満があり、被害者が同意しないために示談交渉がまとまらない場合があります。この場合には、裁判に進むことが考えられます。

しかし、加害者側に十分な資力がない場合には、裁判を起こして勝訴しても、最終的に賠償金の支払いをしてもらえないことがあります。加害者が支払わない場合には、強制競売手続きが行われますが、加害者に大きな財産がない場合は、強制競売をしても代金がほとんど得られず、被害者は満足な支払いを受けることができません。

ですから、加害者に資力がない場合には、訴訟に持ち込むよりも、金額に不満はあるけれども加害者が提示した賠償金額に同意して、示談交渉において解決しておいた方が良い場合もあります。このように、訴訟を起こす前には、加害者の資力について確認しておく必要があります。

民事調停による交通事故紛争の解決

示談交渉があまりにも難航する場合には調停を考える

交通事故を解決する場合、基本的に示談交渉で和解を図っていきますが、折り合いがつかずなかなか話が進まないことがあります。このまま示談交渉をしても意味がないという場合に行うのが調停と呼ばれる解決方法です。

調停とは示談で和解はできないけど訴訟はしたくない場合、裁判所の調停機関が間に入り、当事者双方が話し合いをしながら和解を目指すというものです。誰かに間に入ってもらうことによって、スムーズに話し合いが進みます。

当事者同士ではどうしても交渉がまとまらない場合には、簡易裁判所へ調停手続きを申込みます。なお、示談交渉から裁判所へ手続きに進む目安は、示談交渉を10回から15回行っても解決しない場合と言われています。

調停の利用が適切な場合

また、加害者側が弁護士などを立ててきた場合には、通常の示談交渉では被害者側が不利な条件で合意をさせられるケースもあります。その場合には、被害者側も弁護士を立てればよいのですが、費用がかかるという場合にも、調停の利用が考えられます。

調停は比較的安価な料金で利用できます。また、調停委員は専門知識があり公正な立場で仲介しますから、加害者側に弁護士が付いた場合でも安心です。なお、全般的に、加害者側が専門知識のある代理人を立て、被害者側が代理人を立てない場合には、被害者が不利になる場合が多いので、その場合でも調停の利用が考えられます。

裁判所による調停手続き

裁判所による調停とは、専門知識を持つ裁判所の調停委員に仲介してもらいながら、加害者と被害者が話し合い、お互いが譲りあって、交渉をまとめようとするものです。調停の専門家である調停委員が公平な立場からアドバイスをしますので、交渉がまとまりやすくなります。

話し合うのは加害者や被害者といった当事者同士でなくても構いません。弁護士や家族でも代理人として出席できます。また裁判だと自由に発言することはできませんが、調停の場合は自由に意見を述べることが可能です。

調停が開始されると、調停委員が被害者と加害者の双方の言い分を聞いて、調停案を当事者に提示します。当事者が調停案を受け入れた場合には調停が成立し、調停内容が調書にまとめられて紛争が解決します。

なお、調停調書の内容は確定判決と同一の効果を持ちます。したがって、加害者が調停調書に記載された交通事故の賠償金を支払わない場合には、裁判所から強制執行を受けることになります。ですから、調停調書は、示談書よりもより強力な効力を有します。

また、実際の裁判手続きよりも簡単で費用も少額です。ただし、当事者が調停委員の提示する調停案にどうしても同意できない場合には、調停による解決はできません。その場合には、時間が費用がかかっても裁判で解決するほかありません。

民事調停の申し立ての方法について

調停を申立てる場合には、被害者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して行います。裁判所に行けば、申立書の用紙があります。申立書の書き方は裁判所の職員に聞けば丁寧に教えてくれます。

民事調停の申し立て手数料は、調停により求める賠償金の価格が100万円で5,000円、500万円で15,000円、1,000万円で25,000円です。この他にも、裁判所と当事者間の書類のやり取りのために必要となる郵便切手などを納めなくてはなりません。